「蒸し」と「揉み」が重要な煎茶の一次加工

上記の表のような工程を荒茶工程といい、生葉に対して歩留りは23%程度(生葉100kgに対して荒茶は23kg)です。荒茶は、まだ製品価値の備わっていない半製品の状態であり、仕上げ加工を経てはじめて製品となります。

摘採

一般的に、手摘み煎茶の場合は1芯2~3葉、機械摘みの場合は1芯4~5葉。番茶は煎茶を摘採した後の硬い茶葉を摘採・加工したものです。摘採したばかりの生葉は、まだ生きていて呼吸をしているため、熱が発生します。

送風・加湿

摘採した生葉を放置すると、ただちに発酵が始まり、熱をもちます。そこで、生葉の品質劣化防止・鮮度維持のために、湿度の高い空気を送って、水分の保持と呼吸熱の低下が図られます。

蒸熱(じょうねつ)

酸化酵素の働きを止め、茶葉の色を緑色に保たせながら青臭みを取り除くため、圧力のない蒸気でまんべんなく蒸します。このときの蒸し時間の長さによって、「味・香り・水色」の基本的な性格が決まるといわれています。
蒸熱は、緑茶の色と品質に決定的な影響を与える工程で、蒸し時間が長いほど、この後の工程で茶葉の細胞膜が破壊されやすくなるために濁った水色になります。しかし、色沢は明るくなり、渋味と香気は少なくなります。

冷却

蒸した茶葉を高温のまま放置すると、鮮やかな色あいが失われ香味も悪くなります。そこで、風を送り込み、室温程度までムラのないように急速冷却することで、茶葉の色沢および香味の保持を図ります。

葉打ち

茶葉の色沢・香味の向上と、次の粗揉(そじゅう)工程の時間を短縮するために、乾燥した熱風を送り込みながら打圧を加えて揉みます(茶葉表面の蒸し露を取り除いて、乾燥効果を高めます)。

粗揉(そじゅう)

茶葉を柔らかくし、内部の水分を低下させるため、乾燥した熱風を送り込みながら打圧を加え、適度に摩擦・圧迫しながら揉みます。

揉捻(じゅうねん)

粗揉工程での揉み不足を補い、また、茶葉の組織を破壊して含有成分を浸出しやすくして水分の均一化を図るため、茶葉をひと塊にし、加熱せず圧力を加えて揉みます。

中揉(ちゅうじゅう)

揉捻(じゅうねん)後の茶葉は萎縮し、形も不揃いで水分含有量もまだ多いため、乾燥した熱風を送りながら打圧を加えて揉みます。茶葉を解きほぐし、撚れた形を与え、精揉(せいじゅう)工程で整形しやすいように乾燥させます。

精揉(せいじゅう)

緑茶独特の細く伸びた形に整えるため、茶葉内部の水分を取り除いて乾燥を進めながら、人間が手で揉むように一定方向にだけ揉みます。

乾燥

精揉(せいじゅう)工程を経た茶葉の水分含有量(約10~13%)を、熱風乾燥で5%程度にまで下げます。これにより、長期の貯蔵に耐えるようになり、さらにお茶の香味を発揚させます。